今やweb業界で働く人々以外にも知る人が多くなった「SEO」。
SEOを深く理解するためには、これまでに起こった重要な検索アルゴリズムアップデートを踏まえ、SEOの歴史を振り返ってみることも重要なことです。
しかし、実際に企業のWEBマーケティングを専門に担当されている方も、SEOの歴史を知っている方はそう多くいらっしゃらないかも知れません。よりSEOに対する理解を深めていただくために、これまでに起こった重要なアップデートを交えながら、SEOの歴史について簡単に紹介していきたいと思います。
SEO対策のヒントは「SEOの歴史」
現在、様々な手法によるSEO対策が実践されています。
しかし、本当に効果的なSEO対策を実現するのであれば、「SEOの歴史」について理解を深める必要があります。
もちろん現行のGoogleアルゴリズムに対応した最新のSEOを講じることが最も重要ではあるものの、SEOの本質を理解し、長い期間にわたってブレずに正しいSEO施策を行い続けるためにも、SEOのアルゴリズム更新やアップデートに関する歴史は、web関連の業界に努める人であれば最低限知っておくべき内容は多いです。
とくに、「かつて効果的といわれた手法」を採用している人の場合は、思わぬタイミングで検索エンジンからペナルティを受け、表示順位を下降させてしまう可能性があります。
また、今までどのようなアップデートが実施されてきたのかを知ることで、今後実施される可能性のあるアップデートを予測したり、本当に正しいSEO対策を知ることにつながります。
「本当に効果的な集客を実現したい」「SEOについて正しく理解したい」という人は、これを機にSEOの歴史について触れておきましょう。
検索アルゴリズムアップデートの振り返り
SEOはここ15年ほどで企業のWEBマーケティング手法の中ではかなり一般化してきており、その歴史はさほど長いものではないように感じる方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、実は意外にもSEOアップデートにおける歴史は長く、何と1990年代から「SEO」は存在していたのです。
当時と比較すると、現代のSEOはより精密でユーザーにとって価値あるサイトが評価されやすくなっています。これは、過去に様々なアップデートが行われ、多くの開発者が携わってきたことが理由です。
そのため、現在のSEOというのは過去の様々な歴史があったうえで展開されているといっても過言ではありません。
しかし、様々な歴史を経たSEOではありますが、根本的な目的である「良質なコンテンツをユーザーに届ける」という点については様々な歴史を経た今も何も変わっていません。
ここからは、そんなSEOアップデートの歴史についてご紹介します。
【1990年代】検索エンジンの普及
1990年代、インターネットの主幹となる「検索エンジン」が誕生しました。
「最初の検索エンジン」といわれる「Archie」が開発されたのです。これは、当時カナダの大学生が開発したもので、一気に注目を浴びました。そして、このArchieは2018年現在も存在しています。
この検索エンジンは、当時ユーザーによる「検索キーワード」に応じたページを表示することしかできず、現代と比べると機能性は十分であったとはいえません。検索エンジンの歴史としては最初の段階であるため仕方がないことです。
しかし、これにより、サイトのオーナーがキーワードを繰り返し記載する「キーワードスタッフィング」を行うケースが後を絶ちませんでした。
検索順位が上位であることで広告主を獲得することができるため、多くのサイトのオーナーがキーワードを大量使用して検索上位を狙ったのです。
【1993年頃】大学生によるアイデアがインターネットに革命を
SEOの歴史の始まりである1993年の年、検索エンジンは徐々に成長し始めます。
米国スタンフォード大学の学生がArchitextの開発に成功し、インターネットに革命を起こしたといわれています。Architextとは、「Excite」の先駆け的な存在であり、ユーザーが必要な情報を探しやすくすることを目的に開発されました。
その後、Matthew Gray氏がウェブクローラを発表。次に、サイトオーナーが独自のページを挿入・公開できる「ALIWEB」がMartijn Koster氏により発表されました。
翌年1994年になると、現在もユーザーの多いYahoo!を始めとした検索ツールが複数登場します。
こうしてSEOの歴史はスタートしました。
【2000年代】Googleの進出
2000年代はインターネットの普及が広がり、一般家庭でもインターネットにアクセスできるようになりました。また、検索エンジンも普及していることから、誰でも欲しい情報を得ることができるようになり、インターネットは徐々に身近な存在となっていきます。
しかし、ここで問題があることを忘れてはいけません。誰でも欲しい情報を得られるようになった一方で「情報の質が低い」サイトが上位表示されやすいのが難点でした。
当時の検索エンジンは今よりも機能性が低かったため、サイトにキーワードを大量に記載すれば、どんなサイトでもほとんど上位に表示できてしまったのです。
そんな中でGoogleが検索エンジンとして進出し、「ホワイトハットSEO」のガイドラインの提供をスタート。これは、悪質な手法を採用せずに検索結果に上位表示、ランクインするためのガイドラインのことで、ユーザーにとってメリットのある検索エンジンの実現に向けたものでした。
しかし、当時はその効果が低いことから実践する人が少なかったといわれています。
【2003年頃】良質なコンテンツへのアプローチがスタート
SEOの歴史がスタートして3年後である2003年にはGoogleは「フロリダ」というアルゴリズムアップデートを行います。これにより、今までとは全く異なる成果が表れました。
まず、これまで悪質な手法で検索の上位を維持していたほとんどのサイトが下降したのです。その一方で、良質なサイトが上位へと押し上げられ、よりユーザーのニーズに近づいた検索エンジンへと成長しました。
このアップデートは、SEOの基本であった「良質なコンテンツ・サイトをユーザーに届ける」ということを実現するための大きな一歩となったのです。
これを機に、悪質なリンク獲得やキーワードスタッフィングなどによって上位表示されることが大幅に少なくなりました。
このフロリダは悪質な手法を採用しているサイトにペナルティを課す初めてのアルゴリズムアップデートであり、多くのサイト―オーナーに良質なコンテンツの作成について考えさせることとなったのです。
現代と比較すると、まだまだ未熟な技術ではあったものの、このアルゴリズムによるインターネットへの影響は大きいものでした。
【2005年頃】履歴に基づいた検索結果を実現
現在ではほぼ当たり前となっている「検索履歴や閲覧履歴に基づいた検索結果の表示」。これは、SEOの歴史を大きく変える試みとなりました。実現されたのは2005年です。
Googleは、検索履歴や閲覧利益に基づいてユーザーの求める情報・関連性の高い情報を検索結果に表示する「パーソナライズド検索」を発表しました。
ユーザーがより検索エンジンを活用しやすくなり、かつてと比較するとますます使い勝手の良い検索エンジンへと変化を遂げていったのです。
そして、その年の後半には「Googleアナリティクス」が誕生します。現在も個人・法人問わずに多くの人に使用されているGoogleアナリティクスは、サイトの詳細を分析・測定するにあたって欠かせない存在です。
【2009年頃】Bingの誕生
SEOの歴史に新たな検索エンジンが加わります。それが「Bing」です。
2009年にMicrosoftが「Googleよりも優れた検索エンジン」として「Bing」を発表しました。当時は話題になったものの、実際にGoogleよりもユーザーが増えることはなく、現代でもBingのユーザー数はGoogleよりも低いのが現状です。
その理由として考えられるのが「Googleとの違いが少ない」というものです。Bingがコンテンツの最適化として推奨しているのはGoogleで推奨されているものと似た内容であり、わざわざGoogleからBingへと変更するメリットがユーザーにはありませんでした。
もちろん、GoogleとBingが全く同じであるということではなく、「規模の大きいサイトが優先される」「大文字で表記されている単語が優先される」「含まれているキーワードによって優先順位が変更される」という違いがあります。
しかし、どの違いもGoogleからBingへと乗り換えるための明確なメリットとは言い難いのが難点といえるでしょう。
【2011年頃】パンダアップデートの実施
2011年は「パンダアップデート」の年です。SEOの歴史的にも大きな変化といえます。
これは、低品質なコンテンツを大量に作成したと思われるサイトに向けたGoogleのアルゴリズムアップデートです。
当時、検索エンジンにおける表示順位を上昇させることを目的とした低品質なコンテンツのサイトが多く、こうしたサイトを取り締まるためにパンダアップデートが実施されました。
ここでいう低品質なコンテンツとは「無断複製(コピペ)」「自動生成」などのコンテンツが挙げられ、該当するサイトはほぼペナルティを受けています。
このようなサイトはコンテンツと広告数に差が大きい傾向にあることから、この時期のパンダアップデートはこうした「広告数が異常に多い」というサイトを特定して取り締まっていました。
【2012年頃】ペンギンアップデートの実施
2012年には大きく話題になった「ペンギンアップデート」が実施されます。
これは、不正に検索順位を上昇させるために外部リンクを集めていると思われるサイトに向けたGoolgeのアルゴリズムアップデートです。
当時、「他サイトからリンクを多く集めているサイト」は信頼性が高いと判断され、検索順位も上位化する傾向がありました。それを利用して、外部リンクを恣意的に獲得することで上位化を図るサイトが増えていました。
そうした現状があり、ユーザーの役に立つページが上位表示されないことへの対策として行われたのが、ペンギンアップデートが実施されたのです。
ペンギンアップデートによる影響を受けたのは、「自動生成されたページからのリンクを集めているサイト」や「ページ内でクローラーを騙すような設定をしているサイト」です。こうしたサイトは、評価が下がるようになりました。
【2015年頃】更にコンテンツの品質が問われるように
パンダアップデートと同様に、コンテンツの品質を問うアップデートが実施されました。
それが、「クオリティアップデート」です。このアップデート名は、Googleが公式につけたものではなく、世界的に著名な検索情報サイトであるSearch Engine Landがネーミングしたものです。
パンダアップデートとの違いは、特定のサイトやページを対象としているわけではなく、Googleがコンテンツ評価をする際の評価軸が変わりました。
クオリティアップデートにより、引用や画像、動画だけのサイトや内容が薄い記事を量産しているサイトがその影響を受けました。特に、まとめサイトやバイラルメディアが強い影響を受けていました。
SEO的な評価を下げない為にも、よりコンテンツの品質が求められるようになり、ユーザーのニーズに答えたコンテンツを作ることが、より求められるようになったのです。
【2016年頃】スマホ対応化が重要に
2015年~2016年頃には、サイトでの検索ユーザーが非常に増えている背景を元に、Googleでもスマホ対応化の有無を問うようになりました。そこで実施されたのが、「モバイルフレンドリーアップデート」です。
これは「スマホ対応していないサイトの評価が下がる」というものです。
Googleからは公式のチェックツールも発表され、「クリックできる要素の近さ」「ビューポートの仕様」「フォントサイズ」などのスマホ対応化に必須な6項目が判定されます。
モバイルフレンドリーアップデートによって、スマホ対応化のサイトが増えていくこととなります。
モバイルフレンドリーテスト:https://search.google.com/search-console/mobile-friendly
【2017年頃】日本語検索を対象にした異例のアップデート
2017年には、「日本語検索」を対象にしたアップデートが実施されました。それが、「日本語検索アップデート」です。
これまでのアップデートでは、基本的に言語の区別は存在しなかったため、異例の事態となりました。
当時、医療などユーザーの生活に深刻に関わる情報を取り扱うサイトの中には、根拠の薄い内容を掲載しているサイトも少なくありませんでした。そうしたサイトが検索結果の上位に表示されていることが問題となっていたのです。
日本語検索アップデートの実施により、コンテンツを定期的かつ大量に投下しているサイトや画像ばかりのサイトなどは影響を受けました。結果として、医療系のキュレーションサイトなどこれまで信憑性の薄い情報を公開していたサイトは順位が落ちることなりました。
これからSEOを考える上で重要なこと
いかがでしたでしょうか。
ここで紹介したGoogleアルゴリズムのアップデートの例はごく1部の代表的なものです。
Googleはより良い検索結果をユーザーに提示するため、現在ではコアアルゴリズムの更新は適宜行っています。ですが、ユーザーにとってより有益な検索結果を表示するというGoogleの考えは一貫していますよね。
アップデートの度に検索順位が上がったり下がったりで一喜一憂しないためには、Googleの基本理念をしっかり理解し、ユーザーファーストのSEO施策を追求していさえすれば、アップデートにより自社サイトが淘汰されることはないのだと、ファイナルSEOでは考えています!
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筆者紹介
株式会社doubLe WEBマーケティング事業部 取締役
大学在学中より、インターンとしてSEO営業、コンサルティング業務に従事。
SEOの新規クライアント開拓から施策実装までを一貫してフォローする中で、数多くの競合がひしめく検索エンジンで数多くの失敗と成功を体験する。
100社様以上のクライアントのSEOを担当する中で見に付けたノウハウを元に、 今なおSEOの現場でGoogleアルゴリズムと格闘する毎日。