コンテンツを評価する基準のひとつになった「YMYL」。
SEOをはじめ、WEBサイトやブログの運営者からすれば、絶対に把握して施策しなければならない重要項目になっていますが、その内容はまだまだ知られていないことが多いです。
YMYLはGoogleが定めた検索品質評価ガイドライン。コンテンツの評価を高めるためには評価基準を把握し、正しく施策することが求められます。
この記事ではYMYLについて詳しく解説していきます。
YMYLとは?
YMYLとはGoogleが定めている検索品質評価ガイドライン内における「将来の幸福、健康、経済的安定、人々の安全に潜在的に影響を与えるページ」を指している用語のことで、「Your Money or Your Life」の略語となっています。
YMYLの把握と施策で注意したいのは以下の3点です。
1) 金銭面における情報
2) 生活における情報
3) 権威性の有無
これらを理解して正しく施策されば、コンテンツの質を高めることができます。
金銭面における情報
YMYLの一部「Your Money」は金銭面における情報を指しています。
インターネットショッピングやサービスを利用する際、私たちはお金を支払って欲しいものを購入します。
そして生活における金銭的な情報としては次のようなものがあります。
・保険
・銀行
・株式
・不動産
・投資
言うまでもなく私たちが生きていく上で使用する「お金」の情報を取り扱うページは、より具体的で信頼性があり、専門家が情報を扱うことが望ましいわけです。
Googleは金銭面における情報を厳しくチェックし、信頼性が高く有意義な情報を提供しているページのみを上位表示させています。
生活における情報
YMYLの一部「Your Life」は生活における情報を指しています。
生活と聞くとそれは多岐にわたりますが、Googleが厳しくチェックしているのは「幸せもしくは健康な生活を安全に送るために必要なこと」です。
よって次のような情報を扱うページは基準を満たした上で公開する必要があります。
・健康面に影響するサプリメント(健康食品)の情報
・病院に関する情報
・病気に関する情報
・幸せな生活を送るために必要なこと(美容など)
・離婚に関する情報
・裁判に関する情報
・遺言に関する情報
医療系はもちろんのこと、健康・美容、法的情報などはすべて生活における情報に該当します。
権威性の有無
あなたは次のページのうち、どちらを参考にするでしょうか?
1) 素人が執筆したニキビ克服のページ
2) 皮膚科医が監修・執筆したニキビ克服のページ
おそらく後者を選ぶ方がほとんどだと思います。
Googleもまたより信頼性・専門性の高いページを求めていますし評価しています。このように「権威性の有無」もまたYMYLで重要視される項目のひとつになります。
客観的にページの品質をチェックし、十分な品質を満たしているかを確かめることが重要になるでしょう。
YMYLはいつから重要視されているか?
YMYLが重要視されるようになったのはつい最近のことで、2018年から2019年にかけてです。
ここ日本では現在もYMYLにおけるアルゴリズムアップデートが行われており、特に「医療情報に関するページ」における頻度は高いと言えます。
現在のようなYMYLに関するアップデート(大きな変更)が「医療情報に関するページ」において実施されたのは、2017年12月の医療健康アップデートだと言われています。
以後、Googleが正式に「YMYL」をアナウンスし、該当ジャンルにおけるコアアルゴリズムアップデートや、微調整がたびたび実施されました。
その威力は凄まじく、YMYLによる大きな順位変動が起こったことで、これまで順調だったサイトがいきなり圏外になるケースも多発しています。
YMYLに該当するジャンル
YMYLに該当するジャンルは次のとおりです。
・金銭の取引関連
・資産運用関連
・医療、健康関連
・政治、法律関連
・その他(養子縁組、車の安全性など)
ここではそれぞれのジャンルについて詳しく解説していきます。
金銭の取引関連
ショッピングや金銭の取引に関するものです。要するにインターネットにおけるショッピングページをはじめ、以下のような金銭取引を掲載しているページを指しています。
・クレジットカード
・各種ローン
ショッピングページにおいてはWebサイト上で様々なものやサービスを購入、決済を行っているページすべて、金銭取引を掲げているページにおいては主にクレジットカードや各種ローンを紹介するなどのページが該当します。
資産運用関連
投資や税金は専門知識がないと失敗する可能性がきわめて高いジャンルなので、より品質と信頼性が高いページが評価されるようになりました。
医療、健康関連
誤った情報を実践すると命の危険が伴う分野ということもあって、現在は医師が監修もしくは執筆するケースが増えており、より信頼性の高いページが求められるようになりました。
YMYLのなかでも特に評価が難しいジャンルとなっています。
政治、法律関連
いずれも正確な情報を提供することが求められ、より専門性の高いページにすることが必要です。よってその道のプロなど専門家の監修が必須と言っていいでしょう。
その他(養子縁組、車の安全性など)
人生を左右するような情報を掲げているページすべてが該当します。いずれも信頼性があり、より正確な情報を提供する必要があります。
YMYLが重要視されるようになった経緯
YMYLが実施された経緯には評価基準を満たしていないコンテンツが激増し、それらが検索上位を独占していたことが挙げられます。
そもそもGoogleは基本方針としてガイドラインにおいて次の項目を挙げています。
「ユーザーの利便性を最優先すること」
「だますようなことをしてはいけない」
YMYLが掲げている「将来の幸福、健康、経済的安定、人々の安全に潜在的に影響を与えるページ」の基準に満たないコンテンツの信用性は非常に重要なものです。
いわゆるデタラメな情報や根拠のない情報を提供し、読者がそれを実践して命の危険を被る可能性を排除することが目的です。
キュレーションサイト「WELQ」事変
GoogleがYMYLを掲げ、大きなアップデートを行った最大の理由は、信ぴょう性の乏しい医療情報をまとめたキュレーションサイト「WELQ」の影響が大きいと言えます。
「WELQ」問題はニュースとして大々的に報道されたので記憶に新しいかと思いますが、あらためて何が問題だったのか以下にまとめました。
・他コンテンツの無断引用ばかりだった
・専門知識のないライターが執筆していた
・正確な情報なんか調査もせずに掲載していた
・WELQ側は責任を放棄していた(責任をライターに負わせていた)
当然ながら医療というジャンルは信頼性と正確な情報を提供する必要があり、それを参考にして実践する読者が多いことを深く受け止めなくてはなりません。
このようにWELQ問題を重く見たGoogleはあらためてコンテンツの品質と安全性を確保すべく、YMYLを掲げて大規模なアップデートを行ったというわけです。
以降、正確な情報や信頼性に乏しいキュレーションサイトは姿を消し、専門性が高く信頼性のあるサイトのみが評価され、検索エンジン上位に表示されるようになりました。
YMYLに該当するジャンルにおける対策内容
YMYLに該当するジャンルにおける対策内容を5つにまとめて紹介いたします。
対策1: コンテンツにおける情報を充実させる
ページだけでなくWebサイト全体の情報を充実させることは、信頼性を確保するために重要な第一歩と言えます。
以下のような施策をすると効果的です。
・運営者の情報を具体的かつ明確に記載する
・問い合わせページの作成
・プライバシーポリシーを記載したページの作成
・利用規約ページの作成
対策2: ページの正確性をアピールする
Googleが求めているのは高品質で正確性のあるコンテンツです。
コツは、その道のプロや専門家に監修してもらうことです。特にYMYLに該当するジャンルはこの対応が必須と言えるでしょう。費用は掛かってしまいますが正確性という観点において一番確実な方法です。ただし、専門用語を多用した文章では読者に伝わりにくくなるので、表現は誰が読んでもわかるようにしましょう。
対策3: 参考は必ず公的機関の情報に限定する
ページの正確性を高めるには専門家に監修を依頼すべきですが、それが困難な場合は公的機関が提供している情報を参考にして記事の精度を高めることをおすすめします。
情報は、伝達が繰り返されるたびに正確性が低くなります。伝言ゲームと同じ現象です。
自社ですべての情報を賄うことは不可能なので、他者が発信する情報を参考にすることは問題ではありますが、その情報が本当に信用に足るものなのかという観点を必ず持つようにいたしましょう。
また、他サイトから情報を無断引用する行為は価値がないので絶対にやめましょう。
対策4: 読者が求める答えが記載されているか
各ページに読者が求めている答えが明記されているか確認することも重要になります。
記事タイトルばかりが先行して、いざ記事を読んでみるとまったく答えが書かれておらず、情報不足なコンテンツになっているケースはきわめて多いです。
言うまでもなく読者が求める答えが明記されていないコンテンツは評価されることはありません。全体的にページを見直して、読者にとって有意義な情報を提供できているかチェックしましょう。
対策5: HTTPS化する
HTTPS化はWebサイトが安全である証明になります。
読者が安心・信頼してアクセスできるコンテンツにするためにも、その指標であるHTTPS化は必須です。
YMYLで重要視されるE-A-Tとは?
E-A-Tとは、Googleの検索品質評価ガイドラインにて記載されている評価基準のひとつで、以下の3要素の頭文字をとった略語です。
1) Expertise(専門性)
2) Authoritativeness(権威性)
3) Trustworthiness(信頼性)
E-A-Tに関して詳しく知りたい方は
をご覧ください。
YMYLとの関連性
E-A-Tの3要素を見ると、YMYLが求めていることを強調していることがわかります。
「信頼性」の高いページを作成することで誰もが安心して利用できるコンテンツとなり、「専門性」の高いページを作成することで読者にとって参考になるコンテンツを提供できます。
最後に「権威性」を持たせることで、ページそのものの信頼性と専門性を関連付けることができるため、E-A-Tの対策を進めることこそが、YMYLの施策にもなりSEOの施策にもなるということです。
誰が見ても信頼・参考にできるコンテンツを作る
YMYLを理解したら、ガイドラインに沿って不足している部分やNGとなっている部分をくまなくサーチして修正する作業に移りましょう。
Googleから評価されるコンテンツを作るためには、YMYLを実施していることと、E-A-Tを踏まえていることが重要になります。
情報発信者としての資格や責任が問われるようになってきました。
誰が見ても信頼できて参考にできる安心・安全のコンテンツを作ることこそが今後のSEO対策で注力すべき内容といえるでしょう。
筆者紹介
片山_03.png)
株式会社doubLe ソリューション事業部 SEO部門 部門長
2017年4月新卒として株式会社doubLeに入社。
WEBデザイン、リスティング広告運用、SEO内部対策と幅広い分野の業務を経験し、2019年6月SEO部門の部門長に就任。
ファイナルSEOブログの運用を担当し、「効果の出るSEO対策」を追及している。ソリューション事業部の元気印として日々奮闘中。